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それから何度も何度も季節が変わって、私は子供を産んで、孫も出来た
未だに、優哉君は来てくれていない
もう、待つことさえ疲れてしまったけれど、それでも心のどこかで会いたいと願ってしまう
もう一度あの声で名前を呼んでほしい
もう一度優しいあの手で触れてほしい
私の特別な人だから
私はいつものように縁側で日なたぼっこをしていた
風にのった花の甘い香りが鼻腔を擽る
陽気な柔らかな日差しの下で私は微睡んでいた
「こんにちはー」
聞き慣れない男の人の声がかすかに聞こえた気がする
抗いがたい眠気が私を襲っていたので、そのまま意識を沈めていたら
「雪、会いに来たよ」
私の名前を呼ぶ優しい声がすぐ近くで聞こえた
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