Chapter11

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「……ごめん!」  突然、嵐が奈緒の前に土下座した。ラグに額をつけ、もう一度、ごめん! と叫ぶ。 「さっきは、本当に悪かった! あんな……最低なことして、本当に悪かった!」 「あ、嵐……顔、上げてよ」  びっくりした奈緒は、ひとまず嵐に顔を上げさせようとした。ここに来るまでは、先に謝るのは自分だと思っていたのだ。  奈緒が声を掛けると、嵐はゆっくり顔を上げた。しかし目線は伏せたまま、正座した膝の上で両手を固く握りしめていた。 「マジで、悪かったと思ってる。あんな……レイプまがいのこと……」  嵐の言葉に耳を疑う。  だがそう言われてみれば、確かにひどい仕打ちを受けたのは自分の方だった。  奈緒が嵐を好きでなかったら。  いや――奈緒が嵐を好きだからこそ、残虐な行為だったかもしれない。  奈緒は考え込んで、俯いた。  それを違う意味にとった嵐が、また頭を下げる。 「俺……おかしいんだよ」 「……え?」 「奈緒と……モカちゃんと3Pしてからずっと、変なんだよ」  嵐は低く零した。 「奈緒が可愛いって、前から思ってはいた。初めて会った時から、奈緒って可愛くって構いたくなってほっとけなくて……て思ってたけど、それはずっとダチの延長でしかなかった。……そう思ってたのに……」  今は大事な話をしているはずなのに――奈緒は一人で真っ赤になった。  嵐に「可愛い」と繰り返されて、耳まで赤く染まる。  嵐が自分のことをそんな風に思っているなんて、想像もしたことなかった。 「なのに……大好きなモカちゃんとHしてるのに、奈緒が気になって仕方なかったんだ。夢にまで見たモザイクの向こう側より……奈緒の裸ばっか見てたんだよ、俺……」  気持ち悪いだろ? と訊かれても、それはまったく自分と同じだから、奈緒はなにも答えられなかった。 「だからこの前、モカちゃんのDVDを一緒に見た時、キスした。つうか……あわよくばHしちゃえって……」 「えええっ?!」 「わ、悪かったよ! でも奈緒、俺の下心に気づいたから、俺のこと引っ叩いて追い出したんじゃないのか?」  あの時奈緒は驚いて――いや、奈緒も、モカのDVDに興奮する嵐を見て欲情している自分を、嵐に見透かされたのかと思って焦ったのだ。  奈緒も嵐に、下心を持っていた。
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