Chapter11

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 奈緒の要領を得ない説明より、嵐の推理力の方がよくできていた。  奈緒がウンウンと頷くと、嵐は低い舌打ちをした。 「あのスケベ野郎……奈緒!」 「は、はい?!」  またなにか怒られるのかとビクついて返事をすると、ちょうどさっき奈緒がしたように、優しい手つきで両頬を包まれた。 「抱きたい」  いいか? 訊かれながら、口づけられてしまって、答えることはできなかった。  効いてくれたのは嵐の優しさだが、答えを待ってくれないのもまた嵐らしくて――奈緒は嬉しかった。  ウットリと瞳を閉じる。  重なった唇の隙間から、熱い舌が忍び込んでくる。焦がれて受け入れ、熱い舌先に自分の舌を絡めると、それだけで全身から力が抜けた。  崩れ落ちそうになり、嵐にしがみつく。  強く抱き返され、キスが乱暴になる。  嵐――のようなキスだった。  嵐も焦っているのか、万里のような巧みさはなかった。それでも、奈緒はやはり嵐のキスの方が何億倍も好きで――感じた。  嵐がキスしてくれるのが嬉しくて切なくて、たまらない。甘い痺れが下半身をズンズンと刺激する。 「あ……んふっ……」  息苦しくなって少し唇をずらそうとすると、嵐に後頭部を抑えこまれ、逃げられなくされる。嵐の指が髪に縺れ、ゾクゾクする。 「ん、んんん……」  厚くて広い肩を叩いて苦しいと訴えると、嵐はキスを止めた。奈緒が必死で空気を吸っている隙に、右耳に舌が差しこまれた。 「ひゃん!」  変な声が出て恥ずかしかったのに、嵐は止めなかった。それどころか鼻息を荒くし、耳たぶを噛んできた。 「あっあっ」  奈緒は感じすぎて震えた。嵐の熱くて荒い息が耳に、首筋にかかるたびに、ビクッビクッと体が跳ねる。 「やばい……奈緒の声、たまんない」 「い、やだ……」 「さっき、奈緒に舐められたりしたから……マジでやばい……」  耳元で囁かれ、さっきの破廉恥な行為を思い出す。  奈緒も――やばい。  雄々しい屹立を思い出すだけで、下半身が熱くてたまらなくなる。
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