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奈緒の要領を得ない説明より、嵐の推理力の方がよくできていた。
奈緒がウンウンと頷くと、嵐は低い舌打ちをした。
「あのスケベ野郎……奈緒!」
「は、はい?!」
またなにか怒られるのかとビクついて返事をすると、ちょうどさっき奈緒がしたように、優しい手つきで両頬を包まれた。
「抱きたい」
いいか? 訊かれながら、口づけられてしまって、答えることはできなかった。
効いてくれたのは嵐の優しさだが、答えを待ってくれないのもまた嵐らしくて――奈緒は嬉しかった。
ウットリと瞳を閉じる。
重なった唇の隙間から、熱い舌が忍び込んでくる。焦がれて受け入れ、熱い舌先に自分の舌を絡めると、それだけで全身から力が抜けた。
崩れ落ちそうになり、嵐にしがみつく。
強く抱き返され、キスが乱暴になる。
嵐――のようなキスだった。
嵐も焦っているのか、万里のような巧みさはなかった。それでも、奈緒はやはり嵐のキスの方が何億倍も好きで――感じた。
嵐がキスしてくれるのが嬉しくて切なくて、たまらない。甘い痺れが下半身をズンズンと刺激する。
「あ……んふっ……」
息苦しくなって少し唇をずらそうとすると、嵐に後頭部を抑えこまれ、逃げられなくされる。嵐の指が髪に縺れ、ゾクゾクする。
「ん、んんん……」
厚くて広い肩を叩いて苦しいと訴えると、嵐はキスを止めた。奈緒が必死で空気を吸っている隙に、右耳に舌が差しこまれた。
「ひゃん!」
変な声が出て恥ずかしかったのに、嵐は止めなかった。それどころか鼻息を荒くし、耳たぶを噛んできた。
「あっあっ」
奈緒は感じすぎて震えた。嵐の熱くて荒い息が耳に、首筋にかかるたびに、ビクッビクッと体が跳ねる。
「やばい……奈緒の声、たまんない」
「い、やだ……」
「さっき、奈緒に舐められたりしたから……マジでやばい……」
耳元で囁かれ、さっきの破廉恥な行為を思い出す。
奈緒も――やばい。
雄々しい屹立を思い出すだけで、下半身が熱くてたまらなくなる。
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