Chapter11

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「ごめんな、あんな真似して……興奮して」  しかし優しい嵐は、さっきの行為に罪悪感を持ち続けているようだった。奈緒の目を見つめ、もう一度謝られた。  奈緒は、小さく首を横に振った。恥ずかしいけれど、優しい嵐には伝えなければならない。 「謝んないでよ。俺……嵐の舐めながら……興奮、して、たし……」  罪悪感を忘れてほしいから、ちゃんと伝えたかったのに、奈緒の言葉は途中で遮られた。  嵐にキスをされて、それ以上の言葉はかき消された。  さっきよりもっと激しいキスだった。舌をきつく吸われ、それだけでイってしまいそうになる。  チュウッと音を立て、唇が離れる。  嵐が、真剣に悩む顔で言った。 「どうしよう俺……獣になっちゃうかも」  奈緒は、笑ってしまった。  この獣なら、実家の犬――ミニチュアダックスフント――より可愛い。  そう言うと、嵐はちょっと拗ねて、乱暴に奈緒をベッドに押し倒した。 「俺は獣だから、奈緒を食ってやる」  そして本当に、ガブリと喉元に噛みつかれた。喉仏を吸われ、たまらなく感じる。 「う、ん……食べて、いいよ」  奈緒が焦れて囁くと、嵐の目から優しさが消えた。  そこに現れたのは、本物の危険な獣。  嵐は引きはがすように、奈緒の服を脱がした。下着まで脱がせて、服とまとめて床に放り投げると、自分も全て脱ぎ捨てて裸になった。  奈緒は、嵐の美しい肉体を見上げて恍惚とした。広くて厚い肩が覆いかぶさってくると、両手で抱きしめた。  熱い素肌が触れあうと、二人はそれぞれ甘い息を零した。  ずっと、この温もりが欲しかった――。
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