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「うっ、くぅっ……」
痛みをこらえようと、目を閉じ、下唇を噛む。先端がやっと入ったところで、嵐が動きを止めた。
「奈緒……大丈夫か? やめる?」
薄く目を開けると、嵐が心配そうに覗いてきた。
きっと嵐は、奈緒がやめてと言えば、すぐにやめてくれるだろう。奈緒に少しだけ入った幹が、大きく膨らんで苦しそうでも。
奈緒は深呼吸し、厚い肩に腕を回して強く抱きしめた。
クッと嵐が息を詰めた。奈緒が体に力を入れたから、嵐を締めつけたのだろう。
「な、奈緒……ちょっと力、抜け……」
「やっ……やめないで……」
嵐に甘えるのは、奈緒の専売特許だ。ここぞとばかりに甘えてやる。
「俺にも……見せて。嵐が俺の中で…………」
嵐の背に爪を立て、精一杯嵐を誘惑する。
嵐が、苦しそうに顔を歪めて舌なめずりした。
「クソッ……もう泣いても、やめねぇからな」
そう言って、嵐は奈緒の中で動き出した。
苦しくて息が止まりそうだが、嵐の乱れた息が耳や頬に掛かると、それだけで幸福感がこみ上げた。
嵐は乱暴に動きながら、奈緒の中を探った。
「ああ! そ、そこ!」
嵐は奈緒の弱点を、すぐに探し当てた。張り詰めた先端でそこを擦られると、奈緒は涙を零して感じた。
「あん、あぁ……んぁあ!」
「奈緒……奈緒……」
奈緒を下から激しく突き上げながら、嵐は奈緒にキスした。
キスの気持ち良さと、弱点を苛められる快感で、奈緒はもうなにも考えられなくなった。
直に絶頂が近づき、奈緒はさっきと同じぐらいの量の白濁を吐き出した。それとほぼ同時に、嵐も奈緒の中で果てた。
自分の深い所で嵐の脈動を感じて――また泣きそうになる。
立て続けに吐精させられ息が整わない奈緒を、嵐が上から見つめる。嵐もまた、肩で息をしていた。
「奈緒」
見つめ返すと、嵐はいつになく真面目な顔で言った。
「好きだよ」
荒い息の合間に囁かれる、愛の言葉。
奈緒は多分、ちょっと泣いていた。
「俺も……大好き」
奈緒も愛を告げると、また激しくキスされた。
その夜は長く、いつまでも甘かった。
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