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「……も、もしかして、聡くん……?」
本当の名を呼ばれた聡美……聡くんは、心底嬉しそうに目を輝かせる。
「そーだよ。祐司くんっ! 聡だよ」
全身で喜びを表し、唇が触れそうなほどに顔を寄せてくる。そう、この笑顔は子供のときから変わっていない。
「嬉しいな。思い出してくれて」
彼女……いや、彼の興奮と比例するように、俺の腹に触れている彼の一部分が、より熱を帯びる。
もう、何に驚いたらいいのか分からなくなっていた。
昔、聡くんが告げた言葉。
今、聡美が告げた言葉。
その言葉の意味を理解したくない。
だけど、否応なしに理解していく。
「やっと、あの日の約束が果たされるね」
聡くんの指が、俺のシャツのボタンを外していく……。
一方的な約束を果たすために――
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