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長身でスレンダー、目鼻立ちもくっきりとした美女。
俺の記憶に、彼女のような美女はいない。
見覚えのない女性が、俺の名を呼ぶことに妙な感覚を覚えていると、何かを察したのか彼女は笑いながら話しかけてきた。
「あはは。私、志村聡美よ。……覚えてないよね。私、祐司くんの一個上だし」
「……シムラサトミ?」
名乗られたにもかかわらず、俺の頭のなかに彼女の姿は浮かんでこなかった。
「……ごめん。あんま、覚えてなくて」
「気にしなくていいよ」
彼女が、詫びる俺に対し笑って応えた。だが、ちらりと八重歯の覗く笑顔には、見覚えがあるような気がした。
「祐司くん、こっちに戻ってきたの?」
「いや、今日は仕事で。今はA市に住んでる」
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