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巨人に会えた日
頭が痛くてどうしようもなくて、もう酒を止めるか人生止めるか真剣に考えた午後。
踊り場に巨人が居て、踊っていた。
巨人は言う。
「それでも世界は素晴らしい」
僕は巨人を眺めるばかりで何も言えない。ただ、彼の軽快なステップにより迂闊に近寄ったカップルが踏み潰されたのは見た。
巨人の言う通りかもしれない。僕はそもそも世界が間違っていると思っていた。
違った。間違っているのはきっと人間なのだ。
そういう見解に至った僕はその旨を巨人に伝える。が、彼は聞かず、ただ踊っていた。
「それでも世界は素晴らしい」
そう言って、今日も迂闊なカップルなどを踏み潰す。
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