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木の扉のようなものの前で深呼吸を数回して息を整え、意を決して扉を開いた。
すると、中は洞窟の空間を利用した大きな酒場になっていた。
暖かな空気の流れを感じる。
いくつもの蝋燭の明かりが酒場内を照らしている。
木の太い根が酒場内に張り巡らされているのが分かった。
奥を見ると、木製の棚に各種酒樽や酒瓶、グラス。
バーカウンターといくつものテーブルがあり、そしてカウンターの奥にキッチンがあるのか、ジュウジュウと肉を焼く音と調理・洗い場スタッフたちの声が聞こえた。
「サラマンダー、もうちょっと火加減落として。そのままだと焦げちゃう。」
「御意!」
「ウンディーネ、洗い物追加!こっちのパンとナイフ、スキレットをお願い!パンとスキレットは洗剤使っちゃだめよ。」
「こころえてます~」
呆けてしまい、立ち尽くしてしまう。
だが、真樹斗が一番驚いたのは客の姿だった。
店員は人間の女性のようだが、客にはRPGに出てくる姿のままのオーク、ゴブリン、音楽を演奏しているエルフ、お行儀よく人間のようにイスに座っている犬(よく見ると服を着ているので狼人間か?)、そして身長が低い割にごつい身体をした年老いた男性だった。
年老いた男性が振り向いて真樹斗に声をかけた。
「おう、お前さんもお客か?そんなとこに突っ立ってないで、こっちで飲んだらどうじゃ?」
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