ウチのカミサマが死んだ

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俺は、こんな時ばかり“普通”を振りかざす。 “高校生なのに、まだ高校生だから” 誰かに言われたらカッとくる台詞を、 スポットライトの真ん中で呟いて、悲劇の主人公を気取っているんだ。 いつもなら “人とは違う自分、思ったことを言える自分”でいたい、 早く大人になりたいと背伸びしてばかりなのに。 でも…この場合、まだ子供だからと喚いたところで、逃れられるものではない。 これは、“作り物”という現実なのだ。 ここは作られた世界。 俺と、 病気などの理由で“あたりまえ”の生活が送れない子供達の為に、 父さん…親父が作り、“運用”してきた世界。 それに気付くことなく生きてこられるほどの世界を、 “事実”として“生かしたまま”維持するには、厖大な施設と、莫大な資金が必要だ。 そんなものが、個人の財産や利用費なんかではとても賄えないことは、想像に難くない。 きっと親父は、“俺の知らない所”で駆けずり回ってきたことだろう。 でも…駄目だった。 つまりは、破綻したのだ。
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