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信じられない。私なんか味噌汁ぐらいしか作れないに、高一でこの弁当のクオリティは素敵すぎる。
「小学校一、二年生ぐらいから、お母さんの家事の手伝いとかしてたから。それで、料理も自然と覚えたんだと思う。」
「そうなんだ。私ももっと小さい頃からママの家事のお手伝いを率先してたら、鳥居さんみたいに料理の達人になれたのかな?」
「料理の達人....ってほどじゃないよ....。慣れたら誰でも作れると思うよ....これぐらい....。」
「私からしたら、包丁扱えるだけでももう達人かな。千切りとか微塵切りとか、何処に力を入れたらいいのか分からないし。」
「私も最初はそうだったよ....。慣れたら七海さんも扱えるようになるよ....。」
女だから将来、主婦になったらぶち当たる壁だし、まだ高一だから誰もが料理を焦がしてるイメージだったけど、鳥居さんの料理のクオリティを見たら、器用な高一も居るんだ。
「鳥居さんって本当に多才だよね。」
「多才....?どうして?」
不思議そうな顔で鳥居さんは言った。
「だって、料理上手だし、演劇だって....。」
「七海さん、それは違うよ....。」
鳥居さんは、辛そうに顔を伏せた。
「私は、才能ないから、演劇部に入っていてもなんにも才能ないから....芝居のセンスなんてないの....。芝居だけじゃない。何をやっても不器用だから上手くいかなくて....。中一のとき、テレビドラマに影響されて女優になりたくて、私、演劇部に入ったんだけど、右も左も分からなくて、結局、三年続けてなんの成長もなく、今でも舞台にも出してももらえない....。」
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