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水曜日の学校帰り、風輝は同じクラスで新しく出来た友達の山村信太(やまむらしんた)と、住谷守(すみやまもる)とでカラオケに来訪していた。
信太は、目立ちにくい茶髪に、右耳にピアスをつけているヤンキー風の青年で、守は眼鏡をかけて坊っちゃん刈りの気が弱いタイプだった。
まるで正反対の二人が仲良しになった切っ掛けは、中学校二年生のときの体育でやったソフトボールの授業からだった。
試合をする前の準備運動として、キャッチボールのパートナーを信太が探していると、偶々近くに居たのが守だった。
しかし、守はボールを受けることも、投げるコントロールも不器用すぎたので、その運動オンチが逆に信太のツボとなった。
「こいつ、おもしれぇ~!」
その出会いが切っ掛けで信太は守に積極的に話し掛けていった。守も最初は信太の身なりや積極さが怖かったが、そのうち、良い奴だな~と思うようになり守は信太と腹割って話せる中になった。
同じ高校に入ったのは偶然が重なっただけだった。
どちらも成績優秀というわけでもなく、偏差値や内申の関係で受けられる高校が限られたため、たまたま同じ高校入試をした結果、見事合格、後(のち)、同じクラスになったという流れである。
信太は授業中、ぐうたらと机に寝そべっているか、後ろの席の男子(それが風輝)と無駄話をしているかのどちらかしかない。
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