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六月二一日金曜日の放課後、綾乃と風輝の居ない帰り道、良樹と瑞穂は学校を出て通学路を歩いた。
学校を背中に遠ざかっていくのは、嬉しく、何処か切ない気持ちになる。
この気持ちは小学校の頃から一変しない。
変化したのは、身長が伸びて校舎が今までより低く見えるようになったことと、家からの距離が遠くなって電車通いになったことだけである。
良樹と瑞穂が二人きりで歩くのは、高校生になって初めてのことだった。
いつも綾乃と風輝が側に居た。
幼いころから過ごしてきた仲間なのに、二人きりが初めてなんて、それはそれで不思議な感じがした。
綾乃は高校生になって演劇部に入部した。
クラスの友達に誘いを受け、面白そうだったので入部を試みたと、良樹は綾乃から聞かされた。
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