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ソワソワしているうちに、重い足音を立てながら、風輝がこちらに近づいて来た。
特に垢抜けた格好では無く、日頃見慣れる彼らしい服装だった。
風輝は「オッス!」と手を挙げて瑞穂の前に参着した。
瑞穂はベンチから、すぐさま立ち上がり、風輝に微笑んだ視線を送った。
風輝は呆然と案山子のように立ち尽くし、瑞穂を怪訝そうに熟視した。
「どうしたんだお前....。めかしこみすぎじゃないのか?」
「まあ....ね。人の多いところに行くわけだしさ....。」
「そうなんだ。」
興味無さげな表情で風輝は言った。
「うん....。」
「まあ、なんでもいいけど。それより早く映画を見に行こうぜ。」
瑞穂のことを置いてきぼりに、風輝はそそくさと歩き出した。
瑞穂は急いで風輝を追いかけて、隣を歩いた。
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