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彼のオーラは迫力があった。
「ちょっと、何よその態度!」と強引に腕を引っ張ってしまえば、「うるせえよ!」と乱暴に振りほどかれる気がした。
言えない....。
こんなギスギスした気持ちのままで、好きなんて絶対に言えない。
瑞穂は風輝の背中をぼんやりと眺めながら、深いため息を吐いた。
ロクな会話もないまま、映画館に到着してしまった。
ポップコーンとジュースの紙コップを持って、指定された先頭列の丁度、真ん中の席に瑞穂と風輝は腰を下ろした。
しばらく座っていると、上映開始のブザーが鳴り、スクリーンから映像が流れ出した。
怖いという噂のホラー映画も、上の空の瑞穂には内容などさっぱり入って来なかった。
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