廻り始める歯車

2/13
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
ゴーーー 和風の大きな建物から炎が上がる。 「こっちです。巫女姫様。」 炎の中から、銀髪の美少女と黒髪の美少女が現れる。 銀髪の少女に護られたおかげで、黒髪の少女は傷一つない。 しかし銀髪の少女は全身に火傷を負った。 「このまま………」 銀髪の少女が手を引くと、黒髪の少女がその手を払った。 「え…………?」 「ここから先は貴女一人で行って。私はこの社の主。こういうとき、何があっても 社を守るのが私の使命。」 彼女の瞳は何があっても揺らがない、強い瞳。 「しかし、貴女を護るのも私の使命。」 銀髪の少女も引こうとしない。 「貴女はここまで私を護った。使命は果たしたの。だからもう、自由になって。お 願い。」 黒髪の少女は悲しそうに、祈るように言った。 銀髪の少女は黒髪の少女の命令には逆らえない。 銀髪の少女はその場にひざまずき、 「……………承知しました。」 それだけいうと、後ろを振り返らず、走り出した。 「…………それでいいの。お願いだから、生き延びて。幻華。今までありがとう」 黒髪の少女は一筋の涙を零して呟いた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!