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ゴーーー
和風の大きな建物から炎が上がる。
「こっちです。巫女姫様。」
炎の中から、銀髪の美少女と黒髪の美少女が現れる。
銀髪の少女に護られたおかげで、黒髪の少女は傷一つない。
しかし銀髪の少女は全身に火傷を負った。
「このまま………」
銀髪の少女が手を引くと、黒髪の少女がその手を払った。
「え…………?」
「ここから先は貴女一人で行って。私はこの社の主。こういうとき、何があっても
社を守るのが私の使命。」
彼女の瞳は何があっても揺らがない、強い瞳。
「しかし、貴女を護るのも私の使命。」
銀髪の少女も引こうとしない。
「貴女はここまで私を護った。使命は果たしたの。だからもう、自由になって。お
願い。」
黒髪の少女は悲しそうに、祈るように言った。
銀髪の少女は黒髪の少女の命令には逆らえない。
銀髪の少女はその場にひざまずき、
「……………承知しました。」
それだけいうと、後ろを振り返らず、走り出した。
「…………それでいいの。お願いだから、生き延びて。幻華。今までありがとう」
黒髪の少女は一筋の涙を零して呟いた。
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