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「よし、後は連絡先を書いて…」
俺たちが入学してから最初の一週間が終わり、今日は月曜日だ。
休みの内に買った新しい手帳の最後のページに連絡先を忘れずに書いておく。
書き忘れていくつの手帳が帰ってこなかったことか…。
「出来たーっ!」
「何がですか?」
「えっ…うわっ!」
突然の声に驚いて傾けてた椅子ごと倒れてしまった…。
大丈夫ですか!?と聞く声には覚えがある。
恥ずかしいところ見られてしまった…。
「あはは…。大丈夫大丈夫。ところでモミジさんはなんで俺のクラスに?」
彼女は隣のクラスだったはず。
「なんでじゃないですよ!もう約束の時間を30分も過ぎてますよ!」
時計を見ると午後4時。そういえば午後3時半から図書室で臨時の同好会会議をするんだった。授業終わりからぶっ続けで書いてたら時間を忘れてしまっていたらしい。
「ごめん、忘れてた…。」
「もう、しっかりしてくださいよ。臨時で会議を開こうって言ったのは司君ですし、同好会ができたら会長になるんですからね!」
「面目無い…。」
ははは。と、乾いた笑いで誤魔化す。
返す言葉もないとはこのことか。
「もう、じゃあ先に行ってますよ。」
「あっ、待って!直ぐ行くから!」
慌てて荷物をまとめて走って追いかける。
バタバタと走る音に紛れてポトンと、ポケットから手帳が落ちたが、空良は気付けないままドアをバタン!と閉じて走って行ってしまった。
慌しく遠ざかっていく音と入れ替わるようにして入ってきた人影がその手帳を拾い、
「なんだ?これ。」
と、呟いた。
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