赤羽道夫1

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 ドアが開き、平日午前中のこの時間のためか、電車を降りる少ない乗客と入れ替わるようにおれとつららが乗り込んだ。  七人掛けのシートがたっぷりあいていた。  シートの中央に2人並んですわると、おれはスマホを操作する。なにか手がかりはないものか……。 「んん?」  通話記録が残っていた。  だが登録されていない電話番号だったから、誰かはわからない。11月17日から19日までの間になんども通話している。  いったい誰なんだろう……? あのメモの相手なのか……? そこへ電話を入れれば、昨日までの3日間の謎がはっきりするのだろうか……。  電車を降りてから電話してみるか……。  隣を見れば、つららもスマホを操作している。これから行く店の情報を見ているのだろう。  15分も揺られていると市の中心街にある駅についた。改札を出ると、12月25日にはまだひと月以上あるというのに、街は早々とクリスマス・モードだった。 「さ、行くわよ」  颯爽と目的地へと歩むつららの後について行こうとしたとき、スマホの着メロが鳴り出した。  画面を見ると、例の謎の電話番号からだった。  おれは恐る恐る通話ボタンをタップした。
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