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「ま、忘れてるなら話は早い。あいつにはもう逢ってやるなよ」
だからあいつって誰ですか。
遮りたいけども我慢して先を待つ。
「もし日常生活で何かあっても、向こうから何かしてきても逢うな。お前の為でもあるが、あいつの為でもある」
「あのー……」
「じゃあな」
訊ねようとすると、そんな隙も見せず通話は切れてしまった。
釈然としないまま、つららの隣へ歩み寄る。
「何だったの?」
さあ、と首を傾げる事しかできなかった。
「記憶にない三日間についてかなー、っていう感じはするんだけど」
「またか」
歩き出すと、ふいに会話は途切れた。
気の早いクリスマスソング、赤緑白のイルミネーション、街路灯の飾り付け。
街が、降るかも判らない雪を待ちわびている。
しかしおれの心のなかは、じりじりとした緊張に覆われていた。
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