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西之村螺1
しばらく部屋の中をあれこれ見回したりひっくり返したりしてみたが、何が足りないかが分からないのだから、足りないものが見つかる訳もない。
この奇妙な違和感に、苛立ちが最高潮に達した時だった。
携帯電話が鳴った。
「もしもし」
『おはよう、もう9時過ぎたんだけど、まだ?』
「あっ!」
時計を見ると針は9時15分を少し過ぎたところ。
俺は慌てて身支度を整え、靴を履いて勢い良くドアを開けた。
カサ。
そんな音がして、俺は足を止めた。
半開きのドアから外を覗くと、銀色のドアノブに、白いビニール袋が一つ。
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