汗水、泥水の先の……笑顔

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「おとなって、なんだよ」 ……なんて、放課後に呟いてみたりもした。 ツイッターには同級生の友達が、たくさん草を生やしてコメントをくれた。牧場にでもする気か。 結婚出来る歳になれば、大人か? 選挙権があれば、大人か? 酒が飲めれば、煙草が吸えれば大人か? 「酒なんて飲もうと思えば飲めるし、煙草だってそうだ。選挙権はなんか十八からどうとかテレビで言ってたし、結婚は……結婚も男は十八か」 サキは、今何歳なんだろう。あの頃は同じ歳に見えたけど、子どもだったからよくわからないし、よく思い出せない。 あの頃の僕よりしっかり者に見えたから数ヵ月、または一年くらい年上だったのかもしれない。 十年以上、会っていない。 なんだか照れ臭くて、親にも聞けなかった。僕の母とサキの母は、僕らが遊んでいると仲良さそうに話していたから、連絡先くらい聞いているかも知れない、なんて思った。 どのみち、聞けない。 隣の部屋の表札を見たり、ツイッターに草原を作られたり、親に話しかけづらかったりしているうちに気づいたら、高校を卒業する間際まできていた。 そんな時に、転校生が来た。
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