汗水、泥水の先の……笑顔

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僕は一心不乱に穴を掘った。 せっかく作り上げた山を壊さないように、慎重に。 僕の向かい側で、転校生が同じように穴を掘っていた。 高校生、女子のくせに。楽しそうに、白い頬に泥なんかつけて、一生懸命に。 きっと僕らは、まだ子どもだ。 いつ大人になるのかなんてわからない。 高校を卒業すれば、大人か? それはただ、大人への仲間入りをする権利を与えられただけで、その権利を活かせるかどうかが大人になるという事なのかもしれない。 ……なんて偉そうに呟いたところでまた、草原が広がるだけだろう。 もう肘まで泥だらけだ。 二つの穴は通じていないのか? 反れてしまったのか? 不安になりかけた時。 僕の指先が薄い壁を突き破った。同時に反対側の指先とふれあい、その形は……指切りになった。 「ゆーびきーりげーんまん。サキとリョウくんはおとなになったらけっこんしーますっ!」 サキがあの頃と変わらない笑顔で、歌った。 あの時は崩れ落ちたトンネルが、今開通したんだ。 おとなになりきれていない僕らの、幼い頃の約束を果たすために。 *end*
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