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「受け取り方って言いますけど、それに関しては情報が少なすぎるというか、状況も立場も必要最低限に達していないというか」
エルティさんのスリーサイズについてのくだりは、後日膝を突き合わせて丁々発止やりあうとしても、なんだかはぐらかされてしまった感じが否めない。
「まあ、今はわからないのなら、いずれはわかるんじゃないかな。あるいは君になら。と言うべきなのかな」
「俺になら?」
俺の問いに、彼の言葉は返ってこなかった。
ツーツー。
チェリーさんのボイスチャットの呼び出し音が鳴ったのだ。
ライフォールオンラインには35のチャンネルが設けられていて、ここは過疎チャンネルであるため、比較的周りに人が少ない。
自然、彼のボイスチャットの内容が耳に入ってくる。
「やあ、エルちゃん。デートのお誘いかい?」
「チェリー。猫ちゃんが大変なの。4chの無限フィールドにすぐに来て」
目を覆いたくなる光景。
幸い今までそんなものに出くわしたことはなかったけれど、目の前に広がっている光景はまさしくそれだった。
急いで駆けつけた俺とチェリーさんの眼前には、ボロ雑巾のように痛めつけられた猫神猫が、三人の男と対峙していた。
隣にいるエルティさんは無事の様子だった。
模擬試合場が聞いて呆れる。これは試合なんかではなく、ほとんどリンチだ。
俺は三人の男の顔を見たことがあった。
彼らは有名なPKギルドの面々で、異端審問と銘打っては、掲示板に晒されたプレイヤーをキルすることで名が知られている。
そこから、どういう経緯でこの状況に陥ったのかを推測する。
猫神猫との出会いの時だ。
彼女はシステムバトルを途中で退出し、俺は彼女が掲示板に晒されることを危惧していた。
導き出される答えは一つしかなかった。
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