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「チェリーさん」
「わかっているよ。どちらに正があるにせよ、僕は暴力が大嫌いなんだ。やられているのが身内なら尚更だ」
目の前のチャラい男は、こんな時にでも口角を上げて見せた。
「俺も戦います」
「冗談じゃない。君は彼ら三人と戦うつもりかい? 勝負は相手を見てするものだよ。僕が二十人いようが難しいだろうね。残念ながら、僕達ではお姫様を救うナイトにはなれそうにないみたいだ」
チェリーさんは知っているのだ。
彼らのレベルの高さを。装備も俺達ライトユーザーが身に付けている物とは、比べるべくもない。
事実彼らの武器は、その安物の洋服アバターとまったく釣り合いが取れない、いずれも超高額のものだった。
「じゃあどうやって?」
「まあ、交渉してみるしかないだろうね。もっとも、彼らに僕の言葉が通じればだけど」
そう言ったチェリーさんは、もう歯は見せることはなかった。
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