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男達と猫神猫の間に割り込むように入ると、チェリーさんが飄々(ひょうひょう)とした口調で彼らに話しかける。
「やあやあ、どうも。お取り込み中失礼しますよ。僕は道程チェリーでーす。んで、こちらがユアフレンドの白君」
「なんだお前は?」
男はチェリーさんを睨みつけた。
「あれぇ? 今突っ込みどころだったんだけれど?」
生憎、俺にはこんな柄の悪いフレンドはいないけれどな。
大スベリを披露したチェリーさんをフォローする為に、俺は突っ込んであげる。
もちろん心の中でね。
「お前らあの女と同じギルドか? だが助けにきたなら無駄だ。まさか俺達を相手にするほど、勇気も力もありそうには見えないが、邪魔するならお前たちも殺(や)るだけだぜ」
「チェリー! そいつらに――」
言いかけるエルティさんに、チェリーさんは掌を向けて制する。
「相手はしない。ただ取引は持ちかける。どうだろう? 彼女らを見逃してくれたら、君たちの要求を一つ受け入れようじゃないか。もちろん、僕が代わりにキルされてもいい」
「却下だ。お前をただPKする大義がない」
PKギルドを名乗っているのにやけに律儀だ。
「なにが大義だよ? 元々そんなものないだろう」
「白君!」
横やりを入れた俺の声をかき消すかのように、チェリーさんは声を放った。
彼は俺に少し待つように言い、男達に一歩近寄る。
チェリーさんはリーダー格の男に耳打ちをしている。
何を言ったのだろうか?
ほどなくして、しかし男が首を横に振るのが見えた。
「チェリーさん?」
俺のところに戻ってきたチェリーさんは、大きく息を吐いた。
「白君。交渉は決裂だ」
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