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アポフィライト。
確か宝石の一種だったかな?
俺はそういった事には、とんと疎い。
「はじめまして。俺は白と言います。道程チェリーさんにはギルドに誘われていまして」
後ろめたい思いもあり、俺は彼女の顔を正視することができなかった。
「それで、白君はアポフィライトに入ってくれる?」
「いや、エルティさんのギルドはどんなギルドなのかなって? あはは」
自分の意志の弱さに、ため息が漏れそうになる。
おい白よ。
お前はさっきまで断る理由が何ちゃらとか、孤独風を余すことなく吹かせていたじゃないか。
いくらお前のドストライクの美女に誘われたからといって、それはないだろ。
いや。しかし待てよ白。一匹狼だとか、孤高のソロプレイヤーが格好いいだなんていうのは、精々が中学生くらいまでの発想だ。
そうだ。俺はもう大人で、直に控える誕生日を迎えれば酒だって飲める。
よし、決めた。
エルティさんの答えが、少しでも俺の琴線に触れることがあれば、迷うことなく首を縦に振ろう。
「君は存外面倒臭い性格をしてるんだねぇ」
覚悟を決めた俺に返ってきた言葉は、そんな素っ気ないものだった。
ていうか、道程チェリーさんだった。
「あんたなに人の心読んでんだ! スキルですか? 奥義ですか? どのジョブを選択したら読心術が身につくんですか!」
「いやぁ、ごめんごめん。まだ序盤だし、僕のキャラが定まっていないからいいかなと思ってさ。はっはっは。今度からは読まないように気をつけるよ」
「…………」
今度からはって、チートキャラにもほどがあるだろ……
存外どころか一番面倒なのは、あんただよ。
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