23人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの方がヴァンダルの国王だぞ、アルド。まさか知らなかったのか?」
「我は此処に来て未だ日が浅いのだ!知るわけが無いだろうが」
まるで当たり前のかの様に言ってくれるが、日が浅い上にあんな事があったばかりだから拝見する暇も無かった。まぁ、確かに今自分が滞在している国の国王の顔くらいは知っておくのが常識なのだろうが...。
それに国王自身は別段それで気を悪くしている事は無さそうで、寧ろ豪快に破顔している。
「お初にお目に掛かります、国王。我を呼んでいるようでしたが、一体何用で?」
「おお、そうであったな」
ローズはこういう相手と会話する事に慣れていないのか、我の後ろで隠れるように様子を伺っている。菖蒲も別段関心を示しているような感じは無く、ただ我を見ているだけである。
「うむ。今回此処へ足を運んだのも他ならぬ賢竜の件で主等に礼を言っておきたくてな」
「ああ、その事ならば我よりも彼女に伝えた方が良いですよ。彼女...ロズィナが賢竜の迎撃に貢献しましたから」
そう言い我は前足でロズィナ...ローズを指し、彼女を国王の前に引っ張り出す。
最初のコメントを投稿しよう!