弐章~地獄を超える地獄~

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今夜出発しなければならない事もあって私達は早々に片付けを始める。先程まで飲み続けていた彼等も自分達だけ飲んでばかりではいけないと思ったのか酒盛りを中断し片付けの手伝いを始める。 アルドも足を震わせながら黙々と身体を動かしている。そのまるで尻尾に錘でも付いているかのように引き摺りながらトボトボと歩く姿は何処か愛嬌がある。 自分の所は大方綺麗になり、未だアルドの方には残骸が残っていたので其方に向かう。 どうやら彼の片付けている所では大食らいな輩でもいたのだろう、山積みにされた皿が置かれておりそれを見てため息を着くアルド。 「アルド。私も手伝うよ」 「済まないな、ローズ。助かる」 そう彼の肩を叩きながら私も山積みにされた皿を手に取る。以外にもその一皿は重く、アルドを見るとそれを何十枚にも重ねて持っているのを見て私は驚いた。この時やはり雄と雌では筋力が歴然としている事を思い知らされた瞬間だった。 ...だからこそ魔術を扱う竜に生まれて良かったと思えるのだけど。 力で敵わないのならば魔法しか無い。それは当たり前の考えだが、誰でもなれるという訳では無い。自分の才能もある上、親にも強く影響される。私の場合どちらかと言うと後者が正しいから何の困難も無く魔法を扱えるようになり当然の様に操ってはいるけれど、これも親のお陰だと思うと改めて感謝できる。
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