弐章~地獄を超える地獄~

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「さぁ、出発するぞ」 「ええ。行きましょう」 彼はそう言い、再び後ろを振り返る。 その目線の先には予想通りのイグリスが同様に此方を見つめており、アルドを真っ直ぐと見ている。目線で”気を付けろよ”と言っているようにも感じられ、やはり彼もアルドが心配なのだろう。 「...ッ。我が先に行くぞ」 そうまるで逃げるかの様に辺に風を巻き起こしながら飛び立つ。私も直ぐその後を追い、菖蒲もそれに追従してくる。 折角親しくなれた皆ともお別れ。やっと住みやすそうな島を見つけられたのに其処ともお別れ。 今迄出会いと別れを全然経験した事が無かった私には少々心に来るものがあった。この島で知り合った友達とも”またね”と言ってくれたけれども、それも時が過ぎれば忘れられるかも知れない。 私は別れが大嫌い。 アルドと別れる事も尚更嫌だ。絶対に彼と無事に此処に戻って来る。 私は確固たる決意をし、アルドの背中を追っていったのである。
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