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ルーナ島を発ってから暫くした頃。
我は菖蒲から次に向かって欲しいという話を聞き、特段目的の場所があるわけでも無かったので其処に向かうことに決めた。ローズもその話を既に聞いていたというのでそれを承知の上で着いてきていたようだ。
彼女にその場所を聞くと以外にも近い場所にあり(とは言えかなりの距離なのだが)我は少し拍子抜けした。
「あと少しだ皆。堪えるんだぞ」
「そうみたいね。もうクタクタよ」
かなりの距離を一休も一睡も摂らなかった所為でかなり疲労しており苦しそうに我は自分に鼓舞する様に呼びかけるとローズも如何にも倒れそうに返事をして我と並走する。
前方には物言わず疲労した様子も無く我達を先導する菖蒲。
「ねぇアルド。...手、繋いでもいい?」
「え?あ、ああ...。勿論...」
そう言い彼女は我の前足に自分の前足をタイトに繋いでくる。
あの夜の誓い以来、彼女が積極的に我に寄り添ってくれているような気がする。それは凄く嬉しい事なのだが如何せん我は雌との交流が皆無に等しくどうすれば良いのかもサッパリ分からん。
イグリスにでも聞いておくべきだったか...。
手を繋いで海の上を飛翔する2匹の竜。
その光景は異様な物だと思われがちかも知れないが我達竜にとっては意外とそうでも無いらしく、と言うよりも元来ロマンチストな種族柄当たり前な事なのかも知れない。
ただそれだけの事ですら我は赤面してしまっているのだが。
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