23人が本棚に入れています
本棚に追加
そんなこんなで恥じらいに赤面しつつ菖蒲の背中を追い続けていると、ふと彼女が減速を始めた。
恐らく此処が目的の場所だという事を言われずとも理解出来たので其処が何処にあるのか彼女の視線を追って確認する。
その先には一つの大きな大陸があり、其処は我の住んでいた地域とは少し違って此処は平地が大半を占めている。我の住処はどちらかと言うと樹海に近い環境なのでこう言った見慣れぬ場所を目にするのは新鮮である。
菖蒲は我達に目線で合図をし、返事を訊く前に降下を始めてしまう。
我もローズに合図をし一旦繋いでいた前足を離す。当然降下中に手を繋いでいたら事故に成りかねない上にバランスを失ってしまう。彼女も我と同じ竜なのでそれは当然理解しており、頷き降下を始める。
降下するローズを見た我も降下を始める。
こう言った地形の時は本超低空飛行をするのが基本だ。それが何故だかは分からないが恐らくはそれは本能として身体に刻み込まれているのだろう。地面擦れ擦れに平行で飛翔する。この時に腹を地面にぶつけてしまうと大怪我は免れないので流石に我達も無言になり集中する。
更に地面に近づきゆっくりと爪を大地に着けると、派手に地面を削りながら減速していく。
隣を見るとローズも同様にしていたが、何処かぎこちない。と言うよりもまるで始めて体験するかのように緊張と怯えを感じる。
そして何事も無く停止すると我は一息を着く。菖蒲は近場で身体を横にして待っていた。
「ああ。本当に怖かった」
「やはり始めてだったのか」
我の予想は正しかったようで始めての超低空飛行に軽く恐怖を覚えたのだろう。我のその言葉に「驚くことにね」と自嘲する。
最初のコメントを投稿しよう!