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第9章 月夜の涙(続き)
積もった辛さが彼女の心を冷たくし、
それが、震える彼女から温もりを奪っている。
何も言葉はない。
彼女が抱え続けてきた事情も、その経緯も、何も分からない。
しかし彼女の心の痛みは、ダイレクトに忍の胸に伝わってくる。
彼自身、もう何も考えられなかった。
表の顔も、裏の顔もない。
自分が、フィンザーだろうが、朝比奈 忍だろうが、どうでもいい。
そして忍は、迸るように言っていた。
「君を守りたい。僕に、君の笑顔を奪う全てから守らせて欲しい」
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