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「はい。あの、すみません……」
しかし彼は、近くにあったティッシュを数枚引き抜き
彼女に渡すと、やっぱり優しい声で言う。
「謝ることなんかないよ。それに良ければ、僕の仕事部屋で休んでて。
話たければ、そこで聞くよ」
那々は、少しだけ迷った。
リビングに立花たちの声が戻っていないということは、
まだ月食は続いているのだろう。
だが彼女は、とてもそれを一緒に楽しむ気にはなれない。
それに、このまま胸の内を吐き出してしまいたいという衝動の裏側で
やっぱり大人の理性がそれを止めてもくる。
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