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そして、目の前の彼は、それに気付いているのだろう。
「でも、もしそれよりも一人で少し落ち着きたければ送るけど……。
彼らには、少し酔って気分が悪くなったって言っておくから」
結果、「安心して」と付け加えられたこの言葉に、
自然と頷いてしまっていた。
しかし、帰る先は隣だし、送ってくれるという好意は丁寧に断った。
だが、それでも彼は、
「じゃあせめて、ここのエントランスまで」
そう言って、そのまま立花たちには何も言わず彼女を送り出してくれる。
「あの、すみません。せっかくご招待頂いたのに……」
豪華なエレベーターに乗って間もなく、呟くように那々は言った。
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