3人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし隣に立つ彼は、項垂れ気味の彼女に淡く苦笑を向ける。
「さっきから謝ってばかりだ」
「それは、だって……」
思わず顔を上げた彼女の目の前で、彼の苦笑が、ふわりと微笑みに変わった。
「君は、何も謝る事はしてないから。
だから『すみません』は、もう終わり。それよりも……」
そう言った彼が、ふと微笑みを消す。
そして、
「僕は、本気だから」
真剣な面持ちで言う彼の目は、それでもすごく優しかった。
しかし那々は、答えることもできず、ただ俯くしかできない。
そして間もなく、二人は地上に降り立った。
最初のコメントを投稿しよう!