第10章  迷路の底

6/19
前へ
/37ページ
次へ
そして、一人アパートの部屋に戻り、 ポスンとベッドの上に座って、ちょっと複雑な息を一つつく。 それから、ゆっくりと思い返してみた。 直之は――。 振り返ってみると、一昨日(オトトイ)の自分の言動は、 恥ずかしくなる程ひどかった。 実際、今までにも彼に文句を言って 小さなケンカになったことは幾度かある。 しかしそんな時は、きちんと怒りの理由と要求を筋を通して話してきた。 だから最後には、お互い納得のいく答えを見つけてもいた。 だが今回は、話は順序も説明もないまま、完全に無茶苦茶。 おまけに煽られるままに突っ走った感情は、涙まで流させて。 挙句に、コーヒー代も踏み倒した。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加