第10章  迷路の底

7/19
前へ
/37ページ
次へ
その結果、残ったのはひどい自己嫌悪。 あれじゃ、まるでセックスレスで欲求不満のヒステリーだよね。 あの時の感情が、言葉にしたかった事の十分の一も伝えられず、 わずかに投げつけた気持ちの現実に、愕然とする。 謝らなきゃ――。 ふと、そんな事が浮かんだ。 しかしその傍から、別の自分の声が言う。 謝るって何を? どう謝るの? そして再び、空しく溜息が零れる。 生れて初めてのプロポーズだったのに。 なんでこんな……、最悪。 だが、それを招いたのは自分だった気がする。 そして冷静さを取り戻した今、 もう一度、直之が自分に言った言葉を思い出してみる。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加