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赤い傘の女子……サトミ。
ショートカットで、活動的で、成績もそこそこ、何より彼女はモテる。
大学生の彼氏がいるらしい。
という噂だ。
××××××××
サトミはモテる。
サトミは自分がかわいいという自信がある。
月に一度は誰かから告白されてみたりもするし、近頃は毎日、『ダンスパーティに一緒にいかないか』と誘われている。
サトミはずっと待っていた。
それなのに。
「ちょっと、なんでアタシに声かけてくれないのよ。」
サトミはワタルを睨み付けた。
「え?」
「なんで、ダンスパーティ、誘ってくれないのよ。」
サトミは自分がモテると知っていたから、ワタルの方から誘ってくれるものだとばかり思っていた。
なのに、他の女の子に声をかけているだなんて。
あわてて探しに来たのだ。
もう、我慢なんてしない。好きにさせてもらう。アタシは可愛いんだから、不満なんて無いでしょ!?
イライラして、サトミはワタルの腕を掴んだ。
傘を握っていた手で、制服のネクタイを思いっきり引っ張って、そのなんてことない平凡な顔にキスした。
ドキドキする。
きっと顔が赤くなってるに違いない。
でもアタシはかわいいんだから、こんなことされて嬉しく無いハズがない!!
「アタシと、付き合って。ダンスパーティは一緒に居て。ダンスパーティ終わっても一緒に居て。」
早口でまくし立てる。
固まって動かないワタルに腹が立って、その手を自分のドキドキしている胸に触れさせた。
「こんなにドキドキしてるの。信じて貰えた?断らないわよね?」
もしかして、こんなにかわいいアタシだから、本気だと信じて貰えてないのかもしれない、と思っての行動だった。
××××××××
サトミは、たぶん、クラスで一番人気の女子だ。
もしかして学年で一番かもしれない。
大学生の彼氏はどうした。
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