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わたしの足は、カウンターの前を素通りし、店の奥へ向かっていた。
「お久しぶり~。元気だった?」
わたしに声を掛けられて、二人はびくっと顔を上げた。
「あら、翠川さん。
久しぶり~」
「ほんと、こんなところで会うなんて」
わざとらしい。
そう呟きたくなる嫌悪感は胸の中にしまい込む。
「あら、だって~、生憎ここはわたしの生活圏ですもの。
高校時代からわたしのテリトリーは変わらないのよ」
二人はわたしを見上げて顔をひきつらせながら、
「そうね、そうだったわね」
とお愛想笑い。
フン、だ。
もっとどぎまぎさせてあげる。
「そうだわ、ご一緒してもいいかしら。
わたし、バッグここに持ってくるから。
久しぶりにお二人の近況も聞きたいわ~」
お二人さんは。
「あ、ごめんなざい! 私、もう帰らなきゃ」
「私も子供のお迎えがあるから」
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