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新幹線【はくたか】に乗車するため慶一とともに駅にやってきた稀世は、まだきていない様子の志英の姿を探すようにあたりを見回していた。
「どうしたんだ稀世?いくぞ」
「え、だってまだ――」
大型の観光バスが側を通り、稀世の声はかき消される。
「何キョロキョロしてんだよ。こっちだって」
駅構内に向かおうとしていた慶一は志英がまだきていないというのに、急かすように稀世の腕を掴んで引っ張ろうとする。
と、そのとき道の反対側に志英が見え、こっちこっちと大きく手をふると手をふり返しながら軽やかに走ってやってきた。
「すみません、遅くなりました」
「はあ!?なんでお前がくるんだよ!」
「おはようございます、深水さん。二日間よろしくお願いしますね」
「二日間ってお前っ、一緒に旅行いくつもりか?ちょっ、どういうことだよ稀世!」
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