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 そこで通話は切れた。そして二十分後、部屋のインターフォンが鳴って出ると慶一だった。どうやら家にいたらしく本当にすぐに出てきてくれたようだ。 「ごめんね、休みなのにきてもらっちゃって……」 「何言ってんだ。くるのは当たり前だろ。傷ついてる稀世を放って置けるわけないだろうが」 「慶ちゃん……」  部屋へ入るなり謝る稀世を、慶一は頭を撫でながら慰めてくれる。この仕草は昔から変わらず稀世が一番好きな仕草で、こうしてもらっていると気持ちが不思議と落ち着いた。  ソファーに座ると早速話をふられる。 「それであのセクハラ野郎はなんて言って稀世をクビにしたんだ?」  仕事の話をする度に慶一が社長をセクハラ野郎と呼ぶのを稀世はいつも訂正するが、今日はそんな気にもならずに答える。   「もう必要のない人間だからって」 「はあ!?必要がないだぁ?何言ってんだあの野郎!さては次のターゲット見つけたな」 「次のターゲットって?」  何かを言いかけた慶一だったがすぐに口を噤む。
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