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 慶一は市内でも人気のある美容室に勤めている美容師だ。従業員はスタイリストが慶一含めて四人。アシスタントが五人いる。その中でも慶一は一日の指名が最も多く、毎日忙しくしていた。  近い将来独立して自分の店を持つのが目標なのだが、一番人気の慶一に少しでも長くいてもらいたいと、オーナーは多少のわがままを聞いてくれている。慶一はそれにどっぷりと甘えているのだ。 「俺先月かなり頑張ったからな。今月はまだ最後の週は予約入ってないし大丈夫だって」 「ホント?それならいいけど……。そうだそうだ。それとね、日曜日はちょっと用があって出かけるから夜は家にいないかもしれない」 「出かけるって誰と?」  稀世の交友関係を知っている慶一は怪訝そうに聞いてくる。
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