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「そ、そうかな。俺はこんな感じもいいかなって思ったんだけど、似合ってない?」
露骨に落ち込む稀世を見て、慶一は気まずそうに頭をかく。
「いや、似合ってないとかじゃなくて。その、そんなに胸元が見えてるのはダメだってことだよ」
「どうして?」
「……っ」
俯き加減で窺うように見やるとさらに動揺し出した慶一の態度に首を傾げる。
薄い胸板についているふたつの飾りが見えそうで見えない。
「と、とにかく、日曜は俺も行く!」
「だって慶ちゃん仕事でしょ?」
「終わったらすぐに行くから決まったら店の名前教えとけ、いいな?」
人を見る目に自信がない稀世は、慶一の言った「紳士ぶってるやつほど腹ん中じゃ何考えてるかわかんねぇからな」という言葉に少し怖じ気づいていたため素直に頷いた。
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