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「どうしたんだ」
「いや、急にエリが…とか言い出したから」
「そんな事言ってないぞ」
友達はムッとした口調で言った。
「ああ、ごめん。何か疲れたからもう切るわ。じゃあ明日」
その時は空耳だと思って電話を切った。
それから僕は電話越しに聞こえない筈の『声』が聞こえるようになった。
一ヶ月経った。どれほどの友達や家族の『声』を電話で聞いただろうか。
愚痴、妬み、憎しみ、下ネタ…これが心の声だとしたら人間って黒い生き物だと思うようになった。
『心の声』といえば聞こえがいいが、実際は『闇の声』と表現したい位に暗くおぞましかった。
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