0人が本棚に入れています
本棚に追加
そして秘書の人と話した。上品なおじさんの声だった。
ノイズが走った。どんな黒い声が聞こえるのか緊張した。
『おめでとう。そして出会えた事に感謝します』
それは温かみのある『声』だった。
『声』で優しさを感じたのは初めてだった。
最後に大臣と話をして電話を切った。
(なぜわかったのだろう…『声』が聞こえる人間がわかる方法があるのか)
僕は不安に思いながら色々考えた。だけど何も答えが浮かばず面倒くさくなってそのまま眠った。
その数日後、僕はやっと病気が治って学校へ行った。
教室に入るとみんな興味深そうに僕を見た。
コンクールに入賞したからそういうもんだろうと周りの視線を気にせず席に座った。
一時限の授業が終わって休み時間に担任から職員室に呼ばれた。
コンクールの賞品のヨーロッパ研修旅行の日程や手続きについての話だった。
受験があるので一ヶ月後に行く事になり、それまでに準備をするようにと言われた。
最初のコメントを投稿しよう!