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2004年 バグダッド
幹線道路につながる裏道を、数台の軍用トラックに分乗したアメリカ兵が、道行く人達に警戒の目を向けながら移動していた。
先頭車両に乗っている軍曹が、運転している兵士に声をかける。
「もっとスピード出せないのか?」
「無理ですよ、軍曹。
こんなに道路が混み合っているのですから。
こいつらをひき殺して良いと言うなら別ですが」
道路は混み合い、軍用車両の群れはノロノロ運転を余儀なくされていた。
「分かったよ、クソ! 」
悪態をつきながら軍曹は、警戒の目を車両の外に向ける。
その時、15年前に自分を助けてくれた少年と同じように、顔の半分にケロイドを持つ男の顔が目に映った。
軍曹は彼に声をかける。
『ハッサンじゃないか?
ジョンだよ』
ケロイドの男は軍曹の顔を見て、懐かしそうな顔に一瞬なるが、直ぐにその顔は憎しみに歪む。
ケロイドの男は、身に付けている爆薬に点火するスイッチを押しながら、高らかに叫ぶ。
『神は偉大なり!!』
彼の身体はアメリカ兵達を巻き添えにしながら、四散した。
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