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男の子は自分の胸を指差しながら返事を返す。
「僕はアメリカ人です」
その返事に近寄って来た少年は、何か考え込んでいたが暫くして、返事を返して来た。
『ついて来な、ちょっと遠いけど、大使館に連れて行ってやるから』
言葉が分からずキョトンとした表情の男の子の手を取り、引っ張る。
男の子は少年に手を引かれ立ち上がり、不安の表情を顔に浮かべたまま、歩き始めた。
男の子の手を引っ張りながら、少年は自分の胸を指差し、声をかける。
『俺は、ハッサン』
続いて男の子の胸を指差し問いかけた。
『お前の名前は何と言うんだ?』
少年の言葉は分からないが、自己紹介したようなので、男の子も自分の胸を指差し答える。
「僕の名前はジョン」
男の子は続いて少年の胸を指差し話す。
「君の名前はハッサンだね」
少年は自分の胸を指差し、『ハッサン』と答え、続いて男の子の胸を指差して『ジョン』と返事を返した。
2人は通じないながらも、会話を続ける。
裏通りから大通りに出て1時間程歩いただろうか、少年が立ち止まり前方にみえる建物を指差す。
男の子がその建物を良く見ると、星条旗が翻っているのが見える。
少年はじゃあなとでも言うように、男の子の肩を2~3度叩き、引き返して行く。
男の子は通じないながらも、少年の背に声をかけた。
「ありがとう!
またいつか会おうね」
少年は後ろを振り返り、男の子に手を振って返す。
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