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「…………もしかして、誘ってるの?」
「え? …………あっ!」
冷静になった私は、すぐに真白から離れた。
恥ずかしくなった。何も身に付けてない自分に気付かなかったことも。そんな状態で、大胆にも抱きつくような行動を取ってしまったことも。
でも既に時遅く、隠す隙も与えてもらえずに、私は真白に押し倒された。
「いいよ。今日は大切な用事もないし。もう明るいけど一回くらいやっちゃおうか」
「違……私、そんなつもりじゃっ……」
「その気にさせるだけさせておいて逃げるつもり? だめだよ。夫婦は仲良くしなくちゃね」
熱が絡む視線に、痛みと喜びが同時に湧いた。
人見知りの真白が、私には近付いてきた理由。私を自分に夢中にさせておきたい理由。そして、私と、結婚した理由。
それら全てに共通する、たった一つの解。
「……離さないから」
官能的な舌と指先で私の肌を味わう傍ら、彼は呪縛の言葉を小さく放つ。
真意を知ってしまってもなお、彼が私の最愛であることに変わりはなくて。
彼も、傍にいてくれる。求めてくれる。そして、ずっと、愛してくれる。こんな風に。
────私が、律の妹である限り。
「りっちゃんは、一生僕のものだよ」
囁かれた呪いは甘く、苦く、私を揺さぶった。
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