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真白は自己主張が薄くて、教室の中でも外でも目立たない存在だった。私の双子の兄の雨谷 律の影に、いつも埋もれてるような。
だけど、小学校を卒業して、制服を着る歳になると、途端に人目を惹くようになった。"可憐"と呼ぶのにぴったりな容姿と、でもはっきりと男の子であることを示す学ラン。そのミスマッチな格好に、周りが彼の華やかさに気付き始めた。
本人は、周囲の浮ついた視線には愛想を振りまくこともしないで、教室の中ではほとんどいつも律か私の傍にいた。
「理沙。あいつ、また女子に声かけられてたぜ」
律は意地悪で、私の気持ちを知っていながら、たびたび真白の人気の度合いを教えてくる。
「もぉ、律君っ。やめなよねっ」
そのたびに、律を諌めようとしてくれるのは、私の幼なじみで親友でもある田島 弥生ちゃんだった。
「そんなこと教えたら、理沙ちゃんが不安になるって解らないの? デリカシーのない男の子はモテないよっ」
「別にー? 俺はモテなくても構わねーし。だって、弥生がずっと傍にいてくれるんだろ?」
「えっ……う、うん……」
媚びるような響きを含めた律の返しに、早々と顔を下げてしまう弥生ちゃん。頬だけでなく耳まで真っ赤だ。
「……ご馳走さま」
見慣れたやり取りに、私は息をこぼす。
私の幼なじみの弥生ちゃんは、当然律とも幼なじみ。それと同時に、二人は既に、小学校低学年の頃からの恋人同士でもあった。
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