1905人が本棚に入れています
本棚に追加
/282ページ
「来い、フルンティン…」
「…は?」
思わず、声が上ずちまった。ロードの紅剣の変化を感じ取ったからだ。
ズズッ、ズ、ズ…
絶えず流動し、あの細い剣からは想像できない位に増幅して『異形を象る』。
(き、共鳴…!?いきなりかよ!!)
「試合時間は限られているからな、安心しろ、演習組手って名目だからな…」
ギラリ、と悪代官よろしくニヤついた。
「半身不随くらいにしといてやる。」
「冗談が言えるようになったな、お前。」
先手必勝・一撃必殺・短期決戦、それらの必殺の理を凝縮した‘‘ソレ”は俺の目の前にゴウンと踏ん反り返った。
「……怪鳥!?」
「喚け、【紅鶏】《バジリスク》!!」
赤く、紅い大怪鳥は甲高く大空に嘶いた。
『キュェェェェェェ!!』
いつも思うが、アレは剣の変化体なのに、何であんな精巧に、そして意思を持ったみたいに見える!?
「考える余裕はないぞ。」
「!!」
こうなれば、もうロードの土俵…いや、世界だ。
ゴガァ!!
「ぅっは…!」
大地を蹴散らし、大怪鳥が迫る。
ギュン!
素早く跳躍して、避けた。
「2対1《アウトナンバー》という事を忘れるなよ。」
「!!」
逃げた先に、まるでお決まりパターンの様にロード。
「【シュートグリーン】。」
「…げ。」
その術式は知ってる。初級の魔法だが、上手くタイミングを見計らえば中々に厄介な魔法、そのタイミングが正に今だ。
最初のコメントを投稿しよう!